ただ「そうですね」と言える人は人間関係がうまくいく

どこに行ってもいい人間関係に恵まれる人がいます。
傍から見ていても他人と何ら変わらないことをしているのに、わずかの間に様々な人たちとコミュニケーションの輪を作っている。
この人のコミュニケーションには、凡人とは異なる秘密があるはず。
それを解き明かして、多くの方に幸せになって頂きたい。

そんな願いを込めて作りました「毎日使おう!人を幸せにする素敵な言葉」

今日のテーマは「そうですね」と自然に言える思いやり。

「そうですね」の言葉が作る共感の輪

「そうですねぐらい誰だって言えますよ」とあなたも思ったことでしょう。
おそらくそれは、相手の言葉に納得した時のことを想像して言っているのではありませんか?
実は相手の思いをくみ取って、素直に「そうですね」って言うのはなかなかむずかしいものなのです。

例えば、誰かに「今日は寒いですね」って言われたけど、自分の感覚としては寒くない時などはどうですか?

「今日は寒いですね」
「そうですか?自分は暑がりの方なので(北国の生まれなのでetc)、これぐらいは寒くありませんけど」なんてつい言ってしまいがちなのが人間です。

会話とは事実と正しいことを互いに言い合うこと。そんなふうに受け取っている人は多いものです。

でも、人が「今日はいいお天気ですね」「今日は寒いですね」「暑いですね」「雨ですね」と言う時、あなたの意見など求めているわけではないのです。
このことに気づかずに、つい自分の主張をしてしまうと、相手の人は寂しく感じて、あなたに距離を感じてしまいます。

人は心のつながりを求めて「いいお天気ですね」と言う

人が「今日はいいお天気ですね」とか「寒いですね」と言う時。
それはあなたとの心のつながりを求めていると受け取って下さい。

だから、その時あなたに求められているのは、「そうですね」と爽やかに言い、相手の気持ちを受けとめることなのです。

「今日はいいお天気ですね」「本当に♪」と。

これで相手は「自分の気持ちを受けとめてくれた。この人は良い人だ」と感じます。
これを共感と呼びます。
ここから親しみや信頼が生まれるというわけです。

妻は夫のこんなコミュニケーションにイラつく

私たちの身近でもこんなミスはいっぱい転がっています。

例えば、妻が朝「今日は寒いね」なんて言った時、
夫が「こんなので寒いって言っていたら、真冬はどうするんだい。こんなのまだ序の口だよ」などと正論を言うような場面、どの家庭でも時々ありそうですね。

これは、よくある夫婦のコミュニケーショントラブルへと発展します。

この時、妻の気持ちはとても寂しいものです。夫が心のつながりを拒否したわけですから。
驚く人もいるでしょうが、これが夫婦の間に小さな歪を作り、こんなことが積み重なって亀裂へとつながっていくのですから恐ろしいのです。

「今日は寒いね」と言われたら、よほど暑苦しい時でもない限り「そうだね」と言ってあげることが優しさなのです。
そして、それが「愛している」ということにつながります。

恋人ができない、婚活がうまくいかない、友人ができない、などという人にも同じことが言えますから、一度自分を振り返ってみるのもいいでしょう。

子供が親に語りかけて来た時はもっと大事です。

「このラーメン美味しいね」と言われた時に、「お父さんはもっと美味しいラーメン食ったことがあるぞ」なんて言うのも、子供に寂しい思いをさせます。
余計なことなど言わないで、「ほんとだね、美味しいね」と子の言葉を受けとめてあげるのが、愛というものです。

ただ相手の言葉に反応して事実や正論を言っていればいいと、ぼんやり生きている人は人間関係を悪くしがちです。
人間は他人に対する期待と不安を持っています。
その気持ちを知り、うまく対応できる人が人間関係を円満に、幸せに過ごすことができるのです。

自然な「そうですね」が言える人は人間関係がうまくいく:まとめ

  1. 人は心のつながりを求めて「いい天気ですね」「寒いですね」などと言葉を投げかける
  2. その時に「そうですね」と受けとめることで互いの心がつながる
  3. これこそが共感力
  4. 正論やあなたの意見はいらない
  5. 時に夫婦に隙間、子供の心に不安を形作るので要注意
  6. 人間関係に恵まれない気がする人は、自分自身のコミュニケーションを振り返ってみることをお勧めします

就活の志望動機で「人の役に立つ仕事をしたい」はNGの理由

コロナ禍によって、突然学生の就活が厳しくなりました。
今年就活を迎えるみなさんには本当にお気の毒としか言いようがありません。
少しでも就活のお役に立てるよう、コラムを充実させていきます。

「人の役に立つ仕事をしたい」という志望動機は、なぜ面接官にヒットしないのか

学生の方に就活個人レッスンを行っておりますと、志望動機で多くの人が
「人の役に立つ仕事がしたい」と言うのを耳にします。

しかし、「人の役に立つ仕事をしたい」という志望動機は、面接官の心証にヒットしない可能性が高いのです。

なぜか?

人の役に立つ仕事をしたいという動機の裏側には、「感謝されたい」という気持ちが隠されているかもしれません。
感謝されつつ働くというのは、本当に理想の形。
確かに働き甲斐があります。

しかし、それがいかに大変なことか、望んでも望み切れるものではないことを、面接官はよく知っているのです。

こんな高い理想を持って働き始めた新人が、仕事をはじめて全く感謝されない期間が続いたら、この人は仕事を続けることができるのか。
そんな疑問と不安を面接官は抱くのです。

人の役に立つまでに新人を待っている試練

面接官は社会人経験が長いので、知っています。
甘いイメージを持って就職して来た人たちが、どんなに悩むかを。
いたずらに不安を煽るつもりはありませんが、事実をいくつか挙げてみましょう。

①人の役に立つには実力がいる

当然のことですが、人から感謝されるにはそれ相応の仕事の力が必要です。
しかし社会人になりたての人が、いきなり人様の役に立つことはむずかしいのです。
その試練の期間を耐え忍び、力をつけた人だけが、他人から感謝される実力を身につけることができます。

②企業とは人から感謝される場所ではないことが多い

働くとすぐにわかります。企業とは利益を追求する組織です。
だからある時、顧客の利益と企業の利益がぶつかる時があります。
その時、顧客に多少の損が出ても、企業の利益を追求せよと言わんばかりの指示が出ます。

広告の仕事を例に説明してみましょう。

30万円の広告費を顧客から頂いて、そこからの売上が10万円以下であることなどざらにあることです。
顧客は広告を出して損をしますから、感謝するどころか「金返せ」と怒ります。

次に求人の仕事。
企業は30万円の求人費用を三か月続けて、応募して来たのはたった3人。
そのうち面接に来たのは2人で、1人は無断キャンセルでした。

面接を受けた2人の内、1人は採用するにはあまりにレベルが低く、採用した1人は出勤日に出社せず、結局採用は0。
こういうことはよくあることなのです。

でもあなたが勤める会社は顧客にお金を返すことはありません。
営業担当者は顧客から罵倒されることもざらにあります。なにせ90万円をドブに捨てたも同じなのですから

これが働くということなのです。
それはメガバンクでも一流証券会社でも、自動車メーカーでも、どんな一流企業でも起こりうること。

その時、担当者は顧客が納得するまで謝り続け、ようやく解放されます。
そこから粘りを発揮して何度も同じ店(会社)に通い、「帰れ、用はない」と罵られながら、何とかその会社の経営者に認められ、また広告や求人を出してもらい(並大抵の努力ではありません)、よくよく話をし、その会社の特徴を洗いざらい研究し、ある時ようやく広告費に倍する売上を作り、またびっくりすような人材を採用できることがあるのです。

この時初めて顧客は喜び、「ありがとう。〇〇さんが担当してくれて良かった」と感謝の言葉をくれます。
ここまで来るのに、本当に長い長い月日と勉強と経験、忍耐が必要なのです。

③人の役に立つことは儲からない

働くとはそういうものです。
企業とは人の役に立つことを第一目標とはしていません。
もちろん利益を上げた上で、お客さんに喜んでもらえたらいいのですが、もしどちらかを取るとしたら、企業は自社の利益を優先します。

だからあなたに給料が払えるのです。

本当に人の役に立つ仕事がしたいのなら、無給でもいいと言い切る決意がいります
そういう人はごくごく少数でしょう

働くとはこれほど苦しいことなのに、安易に「人の役に立つ仕事がしたい」と口にする学生に、面接担当者は「ああ・・・」とただそう思うのです。

もしあなたがここまでのことを理解して、その上でも「人の役に立つ仕事がしたい」と言えるのならば、それは面接官の心に届く言葉になるかもしれません。

そのためには次のような準備をしてみてはいかがでしょう。

社会人としての先輩に就活の教えを乞う

さて、これから面接に赴く学生の方にアドバイスを送りましょう。
身近にいる大人たちに、働くとはどういうことか、会社ではどんな経験が待っているのかを、教えてもらうことです。

きっとここで私がお話をしたようなことが、ずらずらと出て来るでしょう。

それはアルバイトとは全く違う世界。

教えを乞う人は、実はあなたのすぐ身近にいます。
例えば、父親。そして母親。
彼らは長い間仕事の現場に立ち、甘いも辛いも全て味わって来た人生の先達。
それはそれは深い経験と現実を知っています。

それ以外にも、兄弟や学校の先輩。
バイト先の社員、立ち寄ったお店の方など、教えを乞う人たちはいくらでもいます。

質問は、その実情に肉薄する直球でいいでしょう。

  • 「仕事をしていて、どんな時に喜びを感じますか?」
  • 「どんな時が辛いですか?」
  • 「学生の時に思いもしなかった現実ってありましたか?」
  • 「バイトと正社員、何が違いますか?」
  • 「あなたを支えているものは何ですか?」

こんな話を聞かせてもらって現実を知ることは、あなたのためになります。
そこからもう一度働くということを考えて、そこから志望動機や自己PRを作り直せばいいでしょう。

ふだんから親と口を利いていない人は、人生の先輩として礼を持って接し、教えを乞うことです。
もしかすると、話を聞いた後で父親や母親に尊敬の気持ちを持つかもしれません。

それは、あなたの人生にとても大きなプラスをもたらすことになります。
このタイミングで就活をする不運を嘆くより、与えられた条件や境遇の中で全力を尽くすことが、あなたの未来を救うことになるでしょう。

ご健闘をお祈りしております。

「人の役に立つ仕事をしたい」という志望動機は、なぜ面接官にヒットしないのか:まとめ

  1. 新社会人がすぐに人の役に立つことはむずかしい
  2. 企業とは必ずしも人の役に立つ存在ではない
  3. 企業は人の役に立つことよりも自社の利益を優先する
  4. 学生は、「働く」ということを今のうちに社会人の人から聞かせてもらう経験が必要
  5. とくに父親、母親の話を真摯に聞くことはとても大事

一緒にいて居心地のいい人悪い人 出版記念 一番いいところをこっそりご紹介

20歳年下の人とうまく話ができますか?

4月発売!「一緒にいて居心地のいい人悪い人」(学研)の出版を記念いたしまして、TALK&トークファンの皆さま方にそのクライマックスを少しだけご紹介させて頂きます。
ぜひご一読下さいませ。

今回は 第5章 20歳年下の人とうまく話ができますか? から

【6】若い人が聞きたいのは、失敗や挫折に直面した時の話

年下に尊敬されるには成功談か武勇伝という思い込み

若い人の話を聞くばかりがコミュニケーションではありません。あなたの話もぜひ若い人に聞かせてあげてください。
しかし、何を語ればいいのでしょうか。もっと直截に言えば、どんな話をすれば、若い人が「あなたの話を聞こう」と思ってくれるのでしょうか。

多くの大人が自分のいいところを話したがります。
それで若い者が尊敬してくれるだろうと思うからで、だからこそ男は成功談や武勇伝を語りたがるのでしょう。反対に成功談のない人は「人に話すことなどない」とあきらめて無口になります。

けれども、これは思い込みから来る誤解です。
若い人が年上の人に聞きたいのは、あなたがピンチに遭った時の話です。ピンチでもがき苦しむあなたが、そこでどう対処しどう立ち直ったのかという人間くさい物語です。
それは聞く人にとって将来の手本となります。自慢や武勇伝など役に立たないので、誰も聞きたくありません。

●優秀で魅力的な大人ほど、失敗談を話す

とくに優秀でスキのなさそうな人ほど、失敗談や挫折体験をするべきです。若い人にとっては手本となるのはもちろん、「至らない自分を隠す必要がない」という教訓を彼らも感じ取って安心できるでしょう。
例えば、こんな話はどうでしょうか。

「まだ20代のころ、当時の本部長にたてついて地方の支店に飛ばされ、やけになって会社に行かなくなった。するとその時の支社長がアパートまで来て、自分の話を聞いてくれた。
このとき言われたのが、『人の言葉に左右されず、自分の行きたい道を行け』という言葉。この言葉で考え方が変わって、地道に働いた。すると3年後、本部長が失脚して本社に戻れた。あの時の支社長の一言がなければ、自分はこの会社で今の立場になれていなかったはずだ」

この物語の中に、できれば当時の生々しい感情も添えてみましょう。
  「本部長のやり口には、本当に腹が立ってね」
  「支店にとばされたときは、まさに絶望したな」
  「3年地道に働きながらも、自分の無力さに時々負けそうになったよ」
経験者の本当の話を伝えられたら、若い人でなくても聞き入ってしまうでしょう。それは彼ら自身が将来ピンチになった時に、手本となる姿だからです。

●子どもにも、親の本当の姿を語る

子どもに対して「お父さんは子どものころ全然勉強しなかったんだよ」という話はできないと信じている親は多いものです。
しかし、いまのあなたの姿を見れば、子どもはあなたの子ども時代に関してなんとなく想像がついているものです。だからこそ、子どもには親の泥臭い話をどんどんしてあげるべきと私は思います。

とくに優秀な親ほど、子にはカッコ悪い姿を見せてあげるべきです。
  「高校生の時、塾の帰りに、親には勉強会と称して友達とカラオケBOXに行っていた」
  「おじいちゃんのエッチな本を、こっそり見ていた」
  「クラス一綺麗な女子のファンクラブを作ったが、会員の誰も相手にされなかった」

優秀な人ほどこうしてスキを作り、子どもや部下をほっとさせるゆとりが必要です。
「自分も至らないところがあっていいんだ」と思えることは、人にとっては生きて行く上で大事なゆとりとなります。それが理由で子どもが勉強しなくなったり、部下が仕事の手を抜いたりすることはありません。

●生徒はベストセラー作家の何を聞きたがるか

私は10年前にある本を書き、それが100万部を超えたことがありました。それ以降に知り合った生徒はみな、私が成功をいとも簡単に手に入れたと思っています。
しかし私はそれまでの20年近く、貧乏でしがない話し方教室を続けて来たのです。
この話をすると生徒たちはみなびっくり。興味津々で次々に質問をはじめます。

  「どうしたらそんなに長く希望を保ち続けることができたのか」
  「家族は反対しなかったのか」
  「どんな策をとったのか」
  「もし成功できなかったら、どうするつもりだったのか」

これらの問いかけに対し、私は苦しんだこと、もがいたこと、挫折したことを隠さずに話すように心がけています。
長く生きれば、誰にでもこのような修羅場、崖っぷち体験があるのではないでしょうか。そういう話を聞かせてもらえるなら、きっと若い人たちもあなたの話をもっと聞きたいと思うでしょう。
他人の生の物語に触れる機会は、そうはないものです。あなたが自分の人生のストーリーテラーになれたなら、年の差がどれほど離れた若い人とでも、会話に苦労はないはずです。

このコラムは出版されたばかりの野口敏の著作
「一緒にいて居心地のいい人悪い人」(学研)
第5章 20歳年下の人とうまく話ができますか?
 

【6】若い人が聞きたいのは、失敗や挫折に直面した時の話

よりお届けいたしました。

20歳年下の人とうまく話ができますか?:まとめ

  1. 若い人は年上の失敗談が好き(手本になるから)
  2. 優秀な人ほど「自分が駄目だったときの話」をするとよい
  3. よくできる親は、子供にすきを見せてあげると、子がのびのび育つ
  4. 苦しんだ経験などのネガティブな内容こそ、包み隠さず伝える

一緒にいて居心地のいい人悪い人 出版記念 内容をこっそりご紹介

大事な人の心を鷲づかみにする気持ちの伝え方

四月発売!「一緒にいて居心地のいい人悪い人」(学研)の出版を記念いたしまして、TALK&トークファンの皆さま方にその内容を少しだけご紹介させて頂きます。
ぜひご一読下さいませ。

まずは 第3章 誰も気づかなかった、心を鷲づかみにする気持ちの伝え方 から

【1】「MYストーリー」よりも「YOURストーリー」

〈私が主役〉の物語、〈あなたが主役〉の物語

少し話しただけなのに、心をつかまれてしまう人っていますよね。その人から贈られた言葉はいつまでも心に残ります。それがLINEやメールで送られたものなら、保存をして、ふとした時に見返して元気を取り戻す材料にすることさえあります。

それを贈ったのがあなたなら、相手の人はそのメッセージを読むたびにあなたを思い出します。この時その人は、あなたに心を鷲づかみにされているのです。

そういう会話やメッセージには、ある法則があります。それは相手が主役になっているということです。
会話でもSNSのメッセージでも、ほとんどの人は「私」の話をするものです。それをこの本では「MYストーリー」と呼びます。反対に、相手を主役にしたもの、または相手を心に置きつつ送るメッセージを「YOURストーリー」と呼びます。

●儀礼的な挨拶にも心をつかむポイントが

例えば、やや形式張ったつきあいの相手からこう問われたとしましょう。

相手「お風邪などお召しではないですか?」

こういった儀礼的な挨拶への返事でも、MYストーリーとYOURストーリーのどちらで答えるかで、あなたの印象は大きく変わります。

あなた「ええ、体は丈夫なものですから」

これがMYストーリーです。
この時のあなたの心にあるのは自分自身。「自分の優れたところをわかって!」とアピールしたい気持ちがありありと伝わって来ます。

あなた「〇〇さんはいつもお気遣い下さって、優しい方ですね」

こちらがYOURストーリー。
会話をする時に自分をアピールするよりも、相手の存在を心に置いてメッセージを送っています。人の心をつかむのは、当然こちらの人に決まっています。

誰もが自分が主役でいたい

新入社員のあなたが、先輩からこう聞かれたとしましょう。

先輩「もう慣れたかい?」

職場にも仕事にも慣れてきたあなた、まずは「はい」と答えましたが、その後は、さあ、どう続ければいいでしょうか。

あなた「はい。人に馴染むのは早い方なんで」

MYストーリーです。また、こういう返事は血気にあふれ「優れた人こそ愛される」と勘違いしている人によくあり、職場では浮いた存在になりがちです。気をつけた方がいいですね。

あなた「はい。先輩をはじめ職場の皆さんが温かいので、すぐ慣れました」

まさにYOURストーリー。こんな新人がいたら、入社させた人事のセンスにバンザイです。
自分のことを心に留めて、自分を主役にして話をしてくれる。こんなことを言ってくれる人、メッセージを送ってくれる人なら、誰だって好きになるに決まっています。
反対にMYストーリーを乱発する人は評価を下げがちですから、気をつけないといけません。

LINEでチェック、あなたのメッセージは〈MY〉?それとも〈YOUR〉?

では、ふだんあなたが他人に出しているメッセージは、YOURストーリーでしょうか、それともMYストーリーでしょうか。それはあなたのLINEを見れば、一目瞭然です。証拠がはっきり残っているので、ここで一度チェックしてみましょう。

 「帰りは21時ごろです」
 「晩御飯はいりません」
 「10分遅れます」

LINEで一番多いのはこのような用件でしょう。自分の都合を伝えるいわば道具的なメッセージです。もちろんLINEは基本的に用件を伝える道具ですから、それが悪いということはありません。
ただ、相手の立場からみるとどうでしょう。送られてくるメッセージのほとんどが自分の都合だけであれば、「この人は自分を大事に思っていない」と感じ、寂しく思うでしょう。
とくに家族や長く付き合っている恋人へのメッセージは、手を抜きがちになります。自分の一番大切な人に手を抜くと、その人の心を失うことにつながります。

●コメントにMYストーリーの嵐が吹き荒れる

では、用件以外のメッセージはどうでしょうか。夫や妻、子ども、友人、職場の人に送ったメッセージに綴られているのは、自分のことばかりではありませんか。

 「毎日残業で疲れる」
 「ランチなう」
 「電車、遅れてる。もう15分も待っている」

こんなものばかりなら、相手にとってあなたからのメッセージは価値の低いものになり、ただ読み飛ばされるだけの存在になっている可能性があります。
次に、知り合いからのメッセージを見てみましょう。ほとんどの人が見事なMYストーリーのはずです。
私の生徒の一人は、会社の同期からのLINEメッセージを見直してこう笑いました。
「『いまドトール』とか『雨で暇だからマンガ50巻一気読み』とか、自分のことばっかり。私からしたらホントどうでもいい!」
まさにMYストーリーの嵐。MYストーリーならぬMYストリームです。

人は自分をわかってほしい生きもの。だから会話でもコミュニケーションツールでも、「私」という主語を使って語ることが多いのはしかたありません。しかしそれは、相手の心には何もひっかからないMYストーリー。心の中では既読スルーになってしまうのです。

「あなたのことを気にかけています」、そんなメッセージを使える人に

とはいえ、LINE使用者がいつもMYストーリーばかり発信しているわけではありません。例えば、あなたの家の近くを台風が通過した、あるいは近くで地震があったという時には、こんなメッセージがLINE仲間から届くでしょう。

 「大丈夫ですか?」
 「被害は出ていませんか?」

こういったメッセージに触れると、誰もがふと嬉しくなることでしょう。それは「あなたのことを気に留めています」というメッセージであり、YOURストーリーだからです。
その人の中に、私という存在がいる──そう感じるだけでも、メーセージを受けた人は心が温かくなり安心感が生まれます。そういう言葉を意識していつも使えたら、あなたの人間関係は今とはずいぶん違うものになるでしょう。

●人は誰もが自分をわかってくれる人を求めて人生をさまよう

なぜYOURストーリーをもらうと人は喜ぶのでしょうか。それは誰もが自分のことをわかってほしいと願いつつ暮らしているからでしょう。
でも、世の中に自分のことをわかってくれる人など、そうはいないのが現実です。
妻も夫も、上司も部下も、誰もが自分のことをほとんどわかってくれていない──そんな寂しさを心に隠して、みんな生きています。(だから男は自分をわかってくれる人を求めて、夜の街に繰り出すのでしょう。そういうところの女性はYOURストーリーで相づちを打てるプロですから)

だからこそ、あなたが今日会った人のことをわかってあげられる人になれたら、あなたはその人の印象に強く残り、大切な人と思ってもらえるに違いありません。
「そんなこと言われたのは初めて!」
相手にそう言わせてしまうYOURストーリーでの伝え方を、次項からお話しします。

このコラムは出版されたばかりの野口敏の著作
「一緒にいて居心地のいい人悪い人」(学研)
第3章 誰も気づかなかった、心を鷲づかみにする気持ちの伝え方
【1】「Fストーリー」よりも「YOURストーリー」
よりお届けいたしました。

近々、第5章 20歳年下の人とうまく話ができますか?
【6】若い人が聞きたいのは、失敗や挫折に直面した時の話

をまたこのコラムでご紹介いたします。

一緒にいて居心地のいい人悪い人 出版記念 内容のご紹介:まとめ

  1. 〈私〉が主役のMYストーリー、〈あなた〉が主役のYOURストーリー
  2. 自分のコミュニケーションがどちらか、LINEを見れば一目瞭然
  3. YOURストーリーは「自分のことをわかってほしい」という欲求を満たす

「わかるー」はわかってない人が言う言葉

良かれと思って使っている言葉。
その中に、知らない内に相手の気分を悪くし、関係を壊してしまうNGワードが潜んでいます。
相手の気持ちに無頓着な人は、知らぬ間に相手から嫌われていることがあるのです。

そんな言葉を毎回一話ご紹介する、「気をつけよう!相手を怒らせるNGワード」。
今回は、「わかるー」はわかってない人が言う言葉。

人を怒らせるNGワード

巷でも共感力について、様々に語られるようになって来ました。
ネットなどで情報を得た男の人が、女性の話を聞くとやたらと「わかります」を連発するようになったとか。

それはこんな会話になるようです。

女性「私、地図が読めなくて、その場所に一回で行けたことがないんです」
男性「わかります。僕もそうです」
女性「(ほんとかよ)」

こんな「わかります」に、話し手はしらけてしまうもの。

実は私も似たような経験があります。
野口「本を書くのって、本当に重労働なんです。身を削りながら書いている感じです」
生徒「わかります。私も社内報を書いた時はそんな感じでした」
野口「(社内報と同じかい!)」

わかるって言えば、わかってあげたことになると思い込んでいるようです。
言われた方は、相手が本当にわかってくれているのかどうか、五感で感じ取れるもの。
「わかります」のひと言では、わかってもらえたとは思わないものです。

※ ただし同じ経験、同じ境遇にある人が使う「わかる!」はとても効果的です

共感とは相手の話を我が身で感じたものを返すこと

共感をただ言葉を返すことだと思っている内は、他人と本当に心を通わせることはむずかしいでしょう。

共感するとは、

  • 相手の話を聞いてそれが我が身に起こったこととして想像する
  • 自分ならどう感じるだろうかと想像
  • 感じたことを言葉にする
  • という流れから言葉が生まれることを言います。
    ですからその口から洩れ出る言葉には生の感情があり、本気で感じている臨場感が伝わって来ます。
    だから相手も本気でわかってくれていると思うのです。

    例えば地図が読めない女性の話を聞く時も、
    女性「私、地図が読めなくて、その場所に一回で行けたことがないんです」
    と言われたら、その場面を想像してみます。

    駅を出た。地図にある目印を探す。「あれかな?」。でもここを右?それとも左?
    しばらく歩いてみるけど、道がどんどん細くなって行く。
    その時、どんな気持ちになるか想像してみて下さい。

    するときっとこんな会話になるはずです。

    女性「私、地図が読めなくて、その場所に一回で行けたことがないんです」
    男性「ああ、地図を読むってむずかしいですよね」
    女性「〇〇さんも苦手ですか?」
    男性「そうなんですよ。道がどんどん細くなって行って、心細くなって行きますよね」
    女性「そうそう、そうなんですよ!ちがうなーって思うんですけど、だからと言ってどこへ行けばいいのかわからないんですよね」
    男性「そうなんですよ。でももうもとにも戻れなくて」
    女性「うわー!そういうことしょっちゅうですよ」

    共感力があれば恋をするのも苦労しない

    共感とは共に感じること。
    地図が読めないと、だんだん心細くなって行く。
    こんな気持ちが感じ取れたら、恋をはじめるのにも苦労はないでしょう。

    共に感じてくれるから、相手はあなたに親しみと好意を感じるのです。
    相手の気持ちが「わかる」のなら、もっと具体的な言葉と感じた気持ちを伝える努力が必要です。

    「わかるー」はわかってない人が言う言葉:まとめ

    1. ただ「わかります」と言うだけでは、相手はわかってもらえたとは受け取らない
    2. 共感とは共に感じる力。相手の話を聞いたら、その場面を想像すること
    3. 自分ならそのことをどう感じるか、想像する
    4. そこから感じたものが口から洩れ出る。それが共感

    人間関係がいい人は「ありがとう」が上手

    どこに行ってもいい人間関係が作れる人がいます。
    この人のコミュニケーションには、きっとどこかに秘密があるはず
    それを解き明かして、多くの方に幸せになって頂きたい。そんな願いを込めて作りました「毎日使おう!人を幸せにする素敵な言葉」。

    今日のテーマは「ありがとう」のコミュニケーション

    「ありがとう」がうまい人は愛される

    「ありがとうはよく言いますよ」と多くの人は言います。
    その話をもう少し深く聞きますと、こんな考えが伝わって来ます

    「自分の役に立つことをしてくれたら、ありがとうって言いますよ」

    例えば、頼んでいた用事を同僚がしてくれた。
    奥さんがスーツをクリーニングに出してくれた
    友人が飲み会の予約をしてくれた。

    そんな時は「ありがとう」って言いますということのようです。

    では相手がしてくれたことが、役には立たなかった時はどうでしょうか

    たとえば、宿泊したホテルの職員が後ろから追いかけて来て、「落とし物ですよ」と言って紙袋を差し出しました。でも、それは自分のものではなかった時。
    それを見て「私のではありません」としか言わない人が多いのではありませんか。

    部下が「これもいるかと思いまして、資料を揃えておきました」と言った時。
    でもその資料はいらないものだったら、「それはいらないよ」としか言わない人の方が多くありませんか。

    寝る前に「明日は仕事で朝5時起きだから、朝ご飯はいらない」と妻に伝えたのに、朝起きると妻が簡単な朝ご飯を作っていた時。
    「朝ご飯いらないって言ったのに」と責め口調で言ってしまう人の方が多いのでは?

    それが役に立たなくても、相手が自分を思ってしてくれたことに「ありがとう」と言えるか

    人間関係がいい人が「ありがとう」と言う時。
    その基準は、自分の役に立ったことに対する礼だけではありません。
    相手が自分のことを思って何かをしてくれたこと。その思いに対して「ありがとう」と伝えるのです。

    (忘れ物を私に走って来てくれた人に)
    「それは私のではないのですが、わざわざ追いかけて来て下さったのですか。本当にありがとうございます」

    (資料を揃えてくれた部下に)
    「気を回してくれたんだね。ありがとう。助かるよ」

    (朝ご飯を作ってくれた妻に)
    「早起きしてくれたのかい。ありがとう。朝早いとご飯がのどを通らないんだけど、ひとつもらうね」

    そんなことを言ってもらえたら、やはり誰もが喜びます。そして「この人の役に立つこと、喜んでくれることをまたしたい」と思うでしょう。

    今朝の朝ドラ。
    白血病の治療のための骨髄移植が可能かどうか、検査を受けてくれた母親。白血球の型が合わずドナーになれなかった彼女に、息子は「検査を受けてくれてありがとう」と言います。
    この優しさに視聴者は泣きました。

    コミュニケーションとは、人の気持ちを感じて、その気持ちに応えることです。人は自分の気持ちをわかってくれる人を信頼します。
    コミュニケーションとはただの言葉のやり取りと思っていると、結局、親しみも信頼も愛情も受けることはできません。

    このコミュニケーションに気づいたら、あなたは「ありがとう」という回数が増えます。
    そして「ありがとう」の言葉に、もっともっと大きな愛情が宿ることでしょう。

    人間関係がいい人は「ありがとう」が上手:まとめ

    1. 「ありがとう」の言葉は自分の役に立った時だけの言葉ではない
    2. 相手が自分を思ってしてくれた行為、その気持ちへの感謝の言葉、それが「ありがとう」
    3. 「ありがとう」が上手な人は、信頼・親しみ・愛情を手にできる

    コミュニケーションドラマ あがり症が改善された夏

    野口五郎はある有名大学の学生課に勤める職員。
    今年、入社3年目を迎えたばかりだ。

    コミュニケーションドラマ前編 あがり症のピンチ

    「おい、野口。夏も近づいて、そろそろオープンセミナーの次期だな。準備しておけよ」
    「えっ!今年も私がやるのですか!」
    「当たり前だろう。手が空いているのはおまえだけなんだ。去年の汚名返上を頼むぞ。今年は200名の参加を目指してやるぞ」
    「に、にひゃくめい!!・・・ですか!」

    上司の西城課長からそう声をかけられてから、ご飯がのどを通らない。
    去年の夏も受験を検討している学生の親50人を前にして、わが大学の素晴らしさを訴えるつもりだった。
    しかし五郎は極度のあがり症。
    昔から人前に立つと心臓が早鐘を打ち、のどが締め付けられるような感覚になる。
    言葉は早くなり、間など全く置かずに話してしまう。

    そのオープンセミナーでも、眉間に皺を寄せながら話を聞く人が目立っていた。
    しかも5分もたつとスマホをいじる者、隣の人と話をはじめる者、居眠りをはじめる者、途中で退席する者などが続出しはじめる。

    五郎がたまに顔を上げて聴衆を見ると、自分を見ている人などごくわずか。
    さらにその貴重な人たちですら無表情で相づちも打ってはくれない。
    その悲惨な状況が、彼のあがりをより強めることとなり、もはや自分でも何を言っているのかわからなくなる有様だった。
    終了後のアンケートには、案の定そのほとんどに「言っていることがさっぱりわからない」と書いてあった。
    このことで五郎は、一時退職を考えるほどのダメージを受けていたのだ。

    それ以後のオープンセミナーは、先輩の桜田に代わってもらったが、彼女は今年出産で長期の休みに入っている。
    上司はオープンセミナーの運営に関わるので、プレゼン役は五郎が引き受けるしかない。

    一対一なら平気なのに、なぜ大勢相手にすると人はあがるのか

    大勢を相手に話すとあがるのは、聴衆の反応が薄くなるからです。
    一対一なら相手も気を使って相づちを打ってくれます。
    しかし、大勢になると聴衆は「自分ひとりぐらい反応をさぼっても大丈夫」と手を抜きはじめます。
    それはほぼ全員が同じ思いなので、みなが無反応で話を聞くこととなるのです。

    これが話し手には辛い。
    聴衆はうなづきもせず、笑いもしない。
    その無表情な姿を見ると「自分の話はよほどつまらないのに違いない」と話し手は自分を責めながら話すことになります。
    これがあがりをさらに強めることになるのです。

    聴衆におもねるとますますあがってしまう

    聴衆の反応をほしがると、弱気な人は彼らにおもねるような態度を取りがちです。
    するとこんなことを冒頭で言ってしまいます。

    「今日はお忙しいところをよくお出で下さいました」
    「こんなに素敵な皆様にお出で頂けて、緊張しております」
    「口下手なものですから、うまく伝えられるかどうか自信がありません」

    そして聴衆を見ます。
    どう? いっぱい反応してねと言わんばかりに。

    ところがこれらの話は、聞き手にとっては聞く価値のないものです。
    話は彼らの中を素通りするだけで、反応など起こるはずがありません。
    その反応の悪さに、また話し手は緊張を深め、
    それは自分の話し方が下手だからだと自己嫌悪に陥るのです。

    実は、聞き手の集中力はスタート時が最高で、その後はどんどん下降します。
    驚くなかれ、ものの30秒もしますと、集中力はスタート時の半分ほどに落ち込みます。
    こうなってはもう挽回は至難の業。
    ぴくりとも反応しない聴衆に、話し手は恐れおののき、ますます声が小さく早口になります。

    話がうまい人は自己紹介すらせず、いきなり話しはじめる

    人前で上手に話すためには、聴衆の反応を気にしないことが気づきにくい秘訣。
    本当にうまい人は、自己紹介すら省いていきなり話をはじめます。
    多くの場合、話し手がみなの前に立つ前に、司会が紹介してくれるはず。
    聞き手はすでに話し手の名前や経歴を耳にしているのです。
    だから余計なことは省いて、すぐに聞き手が聞きたいことを話せば、彼らも話にすんなり入って行けます。

    聞きたい話、興味をそそられる話だと、聞き手の集中力は切れることはなく反応も大きくなります。

    コミュニケーションドラマ後編 あがり症の逆襲

    五郎は何かに救いを求めるようにしてネットを検索してみた。
    すると「あがらない秘訣は聞き手におもねらないこと」というコラムを見つけた。
    藁にもすがる思いで、そのスクールを訪ねプレゼンテーションの極意を学んだ。

    いよいよオープンセミナーがはじまった。
    集まった人たちは予定通り200人。客席は子供の将来を考える40代50代の親たちで満杯だった。

    五郎は原稿も持たずに、静々と壇上に上がり、いきなりこう切り出した。
    「皆様のご子息たちは、人生100年時代を生きることになります。
    もはや初めての就職先で、そのまま定年を迎える人などいない時代になるのです」

    突然、聴衆から「えっ!」という声が漏れた。
    五郎が顔を聴衆に向けると、多くの人が彼に真剣な眼差しを向けている。
    それを見ると、五郎の早い鼓動がすっとおさまった。

    「これからの大学を選ぶ基準は、ただ一流企業に就職する割合が多いかどうかに置くべきではありません」

    ここで間を置き聴衆を見ると、一番前の男性がごくりとつばを呑むのが見えた。

    「これからは転職は当たり前の時代になります。会社を立ち上げる起業をする人もずいぶん増えます。
    だから転職や起業に有利な知識と経験を積むことが、人生100年時代を生き抜く条件となるでしょう」

    多くの人がメモをする姿が見えた。

    「弊学で学ぶのはまさに21世紀が必要とするものばかりです。AI、バイオテクノロジー、食品管理、この知識と技術があれば皆様のご子息たちは社会から求められる人材に育つことは間違いありません」

    気が付くと予定されていた30分があっという間に過ぎていた。
    「ありがとうございました」と礼を言って壇上から下がる時には、拍手すら起きたのだ。
    聴衆から見えない奥まった場所に上司である西城が両手を開いて待っている。

    「おい、野口!本当におまえか。俺も感動したじゃないか。何をしたらこんなに変われるんだ」

    西城は野口を抱きしめんばかりに腕をつかんで言った。
    五郎はそこで初めて足が小刻みに震えていることに気が付いた。
    「課長、吐きます。トイレ、トイレ」
    夏の暑さがようやく五郎のもとに帰って来た。

    人前であがらない秘訣:まとめ

    1. あがるのは聴衆に反応があまりないから
    2. 聴衆に媚びて「人前で話すのが苦手」とか「今日は集まってくれてありがとう」とか言うから余計に反応が薄くなる
    3. 聴衆の反応がないのは話が下手だからではない
    4. 聴衆の反応を欲しがらない
    5. 自己紹介も司会者がすませているなら必要なし
    6. 聴衆の集中力は初めの十数秒しかキープできない
    7. いきなり聴衆が「何を言い始めるのだ!」と聞き耳を立てるようなことから話しはじめる
    8. すると聴衆が話に引き付けられ、反応が起こりはじめて話すのが楽になる

     

    もう原稿も丸暗記もいらない心を動かす!スピーチ・伝え方
    下手でもいいから自分の話をするのが大事。人との距離が近くなる

    下手でもいいから自分の話をするのが大事。人との距離が近くなる

    教室のレッスンを受けている方から、こんな言葉を頂きました。
    「自分は今まで自分の話を聞いてもらおうとはして来なかった・・・。
    話すことに自信がなかったからだと思います」

    これはコミュニケーションを教えることを仕事とする私も
    うっかり見逃して来た視点でした。

    取るに足らない話なのに親しみが生まれる

    実は自分を上手に語ることは、他人とつながり親しみを生むもととなっているのです。
    とくに気持ちが伝わって来る話は、相手との距離を一瞬で縮めます。

    私「昨日は京都の歯科医院に研修で朝早く家を出ましてね」
    相手「ええ」
    私「出かけにうちの家内が、今日はずいぶん早いねって言うんです」
    相手「はい」
    私「そうや、今日は京都の歯医者さんで研修やと言うとね」
    相手「ええ」
    私「歯医者に行くの! 保険証持った?って聞くんですよ」

    こんな取るに足らない何でもない話ですが、短い言葉でキャッチボールを行い、相手もしっかり相づちを返してくれると、お互いが同じイメージ、同じ気持ちを持つようになります。

    さらに感情が湧くストーリーだと、お互いの脳にドーパミンという快楽物質が出て、幸せな気持ちになります。
    これが雑談から親しみが生まれる理由なのです。

    自分を語らないと他人とのつながりが生まれない

    しかし、自分を語ることを恐がる人は、自分の話など誰も聞きたくはないし、面白くもないだろうという思い込みを持っています。
    日頃、様々な出来事に遭い、色々な物事を見聞きしても、それは外に向かって表現されることはなく、自分の中を素通りして忘れ去られて行くだけ。

    すると、他人との結びつきがとれなくなってしまいます。
    なんとももの悲しいお話ですが、これがその人の人間関係が寂しくなってしまう理由なのです。

    しかし教室でお話をしてもらいますと、みなさんいいお話を持っています。
    人に聞かせる話がない人などいないのです。
    冒頭のお話をして下さった方も、こちらから話を引き出すと、とても楽しいお話をして下さいました。

    会話はお金がかからない娯楽。お金では買えないエンターテイメント。
    だから会話を楽しめたら、人生がとても楽しくなるし、人ともすぐに仲良くなれます。

    相手が乗って来るとっておきの話し方

    こういう方は、次のようなことにチャレンジしてみて下さい。
    日々、あなたが遭遇する出来事。
    それを短い言葉で他人に伝えてみます。

    近所にあったラーメン屋が今日見るとなくなっていた。

    携帯電話のバッテリーがもたなくなって来た。

    うちの近所にもタピオカの専門店ができた。

    みんなこんなありふれたことを話題にして、会話を楽しんでいるのです。
    価値がないとか、誰も聞きたくはないだろうとは考えずに、チャレンジしてみて下さい。

    ここで重要なアドバイス。

    近所にあったラーメン屋が今日見るとなくなっていた・・・ので私は「びっくりした」のか「悲しかった」のか。
    はっきり自分の気持ちを添えてみて下さい。

    すると相手はその先を聞きたくなります。
    どうしてびっくりしたのか。
    どうして悲しくなったのか。

    話に気持ちが加わると、それはもう物語りでありドラマです。
    もし相手がその先を待っている顔をしていたら、「実はね・・・」と物語を先へと進めます。

    相手の人はきっとあなたの話を楽しんでくれるでしょう。
    そして何よりあなた自身が楽しい気分になれるはずです。

    それは気持ちを表現したから。
    あなたが人生の目的をひとつ達成したから、心が温かくなったのです。

    まずはあなたのことをわかってくれそうな人を見つけて、最近の出来事を短くていいのでお話してみて下さい。
    人とのつながりを感じると心が温かくなり、人間関係が寂しく感じることが少なくなって行くでしょう。

    コミュニケーション、ここを変えたら寂しい人間関係が一日で温かくなる:まとめ

    1. 自分を伝えないと人は他人とつながりを持てない
    2. 伝える内容は取るに足らないことでかまわない
    3. 自分の話のオチはいつも「びっくりした」「困った」など気持ちで締めくくる
    4. 気持ちを表現すると他人とのつながりが強くなる
    5. 何でもない話を他人にする勇気を持つ

     

    温かな人間関係をつくるコミュニケーションをマスターするなら
    仕事の話ならできるけど仕事を離れると話に困る人!これで解決

    仕事の話ならできるけど仕事を離れると話に困る人!これで解決

    山田賢一は不動産屋で働く32歳。
    今日も彼と同年代に見える女性三木聖子を車に乗せて、目ぼしい物件を一件一件案内していた。

    「この町は最近インスタで芸能人が紹介してから、人気になっているんですよ」
    「へえ!誰?」
    「美剣流也です」
    「みつるぎりゅうや?・・・あ!あの!」

    賢一はお客とのコミュニケーションで困ったことはない。
    一度の接客では二時間ほどお客を案内するが、 会話はとぎれたことはない。

    ところが、ある日の昼下がり。

    彼が一人遅いランチをカフェのカウンターで食べていたら、少し前に彼の横に座った女性が突然彼に話しかけて来た。

    「あら、山田さん?先日お世話になった三木です。偶然ですね。いまお昼ですか」
    今日は休日なのか、聖子は洗いざらしたデニムに刺繍の入った白のブラウスをモデルのように着こなしていた。
    ふいをつかれた彼は慌てて返事をした。
    「あ!はい、あの時はありがとうございました」
    「すいません、ぜんぜん気づかなくて。お隣に座ってしまいました」
    「いいえ、こちらこそすいません。ぼんやりしていて」

    しばらくは賢一が紹介したマンションの住み心地について話は続いたが、それもすぐに話題が尽きてしまって、気まずい空気が流れた。

    「山田さんって、ふだんはあまりお話なさらない方なんですね」
    驚いた様子で聖子が尋ねた。
    「はあ、どうも申し訳ありません。自分は仕事の話ならいくらでもできるんですけど」
    「そうですか。くつろいでいらっしゃるところにいきなり申し訳ありませんでした」
    聖子は少し寂しげな色を瞳に浮かべて、席を立っていった。

    カフェからの帰り、賢一は車のハンドルを握りながら、自己嫌悪感と闘っていた。
    自分は決して話が下手なわけではない。
    ただ、仕事以外の話が苦手なだけなんだ。
    見た目も悪くない彼だが、これまでの32年間で付き合った女性は2人だけ。
    それも三か月以内に自然消滅する儚い恋の経験しかないことも、彼の秘められたコンプレックスでもあった。

    仕事以外の話題を持っていない戸惑い

    この賢一のような戸惑いを持つ人は多いものです。
    仕事という話題を失うととたんに会話に困るということは、仕事以外の話題を何も持ってはいないということになります。

    仕事の会話というのは、話題も決まっていて相手に対する質問も定型文がありますから、あまり頭脳を使う必要もない楽な会話です。

    こういう方には、五感を刺激して脳を活性化する意識を持つことをお勧めします。
    目で見たもの、耳で聞いたもの、肌で感じたもの、匂いや味から得られる感覚を話題にするのです。

    とくに視覚や肌の感覚で感じたものは、いい話題になります。
    「もう秋の雲ですね(冬の雲ですね)」
    「夕暮れが早くなりましたね」
    「このビル、一週間で解体がすんでしまいましたね」
    目に見えるものに意識を向ければ、話題にすることもむずかしくはありません。

    次は肌の感覚です。肌は気温や湿度などを敏感に感じ取ってくれます。
    「寒くなって来ましたね(温かくなって来ましたね)」
    「梅雨になってじめっとしますね」
    「日差しが痛いぐらいですね」

    そして「秋の雲を見ると、私・・・」
    「ビルの解体が一週間ですんでしまうのを見て、私・・・」
    「寒くなってきたので、私・・・」
    というように、ちょっとした話題から自分の話へとつなげていきます。

    例えば
    「秋の雲を見ると、バイクに乗りたくなりますね」
    「ビルの解体があっという間に進んだので、解体するところを見逃してしまいました。私、ビルが壊されて行くのを見るのがたまらなく好きでして」
    「寒くなって来たので、昨日早速コタツを出しました。コタツ好きなんですよ」

    と自分の感じ方を伝えます。
    そうすると相手もそのイメージを思い描くことができて、そこから質問やそれに関する相手の話を語ってくれたりするので、会話がはずむのです。

    目で見る、耳で聞く、肌で感じるものはそこにいる人の間では共通の話題。
    そこから自分のエピソードにつなげれば、相手も違和感なく話に入って行けるというわけです。
    感じたこと → 自分のエピソードへの展開ができるようになると、会話には困らなくなるでしょう。

    つまり一人の人間として思うことや感じることを話す力をつければ、仕事を離れても人間らしい会話ができるということです。
    ぜひお試しくださいませ。


    あの日の失敗から半年。
    山田賢一はあの町のあのカフェで聖子を待っていた。
    そう、二人はひょんなことから再会し、付き合うようになっていたのだ。

    「ごめんなさい、遅刻しちゃって」と笑顔で謝る聖子に
    「いいよ、僕も今来たところだから」と賢一は明るく返し、半分に減ったコーヒーカップを慌てて口に持っていった。

    「無理しちゃって」
    「へへへ。外は寒かったでしょ」
    「そうね、もう十一月だもんね」
    「うちの近所の桜の木も、もう紅葉がはじまってて赤くなっていたよ」
    「へー、そんな感性あったんだ、ケンちゃん」
    「もう少しで俳句を詠むところだった」
    「あははは、ケンちゃんってこんなに面白かったっけ」
    「ああ、聖子が付き合ってくれたお陰かな」
    「もー、照れるから」

    聖子の顔が喜びではじけるのを見ながら「ま、そういうことにしておこう」と賢一は心の中で首をすくめた。
    この数カ月、土曜日は仕事が忙しいと言って会うのは夜だけにしてきた。

    しかし、その時間に実はコミュニケーションを習いに行っていたことは、しばらくは秘密にしておこうと思うのだった。

    仕事の話ならできるけど仕事を離れると話に困る人:まとめ

    1. 仕事の話というのは話題も決まっていて、あまり頭を使う必要はない簡単な会話
    2. 目で見たもの、耳で聞いたもの、肌で感じたもの、匂いや味から得られる感覚を話題にする
    3. 動それはその場にいる二人には共通の話題
    4. 「朝晩は冷え込んで来ましたね」と言葉を投げかけ、相手が「そうですね」と返事しやすくする
    5. 「寒くなって来たので私・・・」という流れで自分のエピソードを短く話す
    6. するとお互いにイメージが広がり、気持ちを感じることができるので、話が広がりやすくなる

     

    温かな人間関係をつくるコミュニケーションをマスターするなら
    脳科学が解明した一緒にいて楽しい人の話し方

    脳科学が解明した一緒にいて楽しい人の話し方

    最近、大変有能なスキルを持つ生徒さまが、私の講座を受けた後、脳科学にまつわる外国の文献を調べて下さいました。
    そして私の教えていることが、脳科学の面からも実証されていると教えて下さったのです。

    脳科学が解明した会話の秘密

    私が教室で教えているのは次のようなことです。

    • 話し手が言葉の切れ目がなく間を空けずに話すと、聞き手は映像を浮かべることができない。
    • すると、そのストーリーの意味を飲み込むのがやっとになる。
    • あまりに長い話になると、もう言葉が耳に入らなくなり、何も伝わらなくなる。

    例をあげると次のような話し方になります。
    「老舗って言われている寿司屋に行ったんだけど本当に建物が古くてしかも入り口が小さな引き戸になっていてそれを思い切って開けるとそこの大将と目が合ってしまったんだ」

    こんなふうに話をされると、聞き手にはただ言葉の意味だけが届くという結果になります。
    この状況を、生徒さまが紹介して下さった脳科学の文献ではこう説明されています。

    私の要約でお読み下さい。
    言葉の切れ目がなく間を空けずに話す人は多い。
    その話を聞く人の脳では、イメージが湧かないために、言葉がただの情報として処理されてしまう。
    この時、主に働いているのは、脳の左側にあるブローカ領域とウェルニッケ領域で、ここでは音声を言葉に置き直し、その意味を理解する働きをしている。
    聞き手の脳にはただ情報がインプットされるだけで、他の脳領域との連動が起こらない。
    すると感情が湧かず、会話の広がりは期待できない。

    短く切って間をうまく使うと、聞き手の脳全体が働きだす

    私が教室で教えているのは、短い言葉で切って、間を空け、聞き手に相づちを打たせるように話すことです。
    それは次のように使います。

    「老舗って言われている寿司屋に行ったのよ」
    「へー」
    「それがね本当に建物が古いの」
    「そうなんだ」
    「しかも入り口が小さな引き戸になっていてね」
    「うん」
    「それを開けるとね」
    「うん」
    「そこの大将と目が合ってしまったんだ」
    「うわー。怖かったでしょう」

    短い言葉で伝えてもらうと、その場面が脳裏に浮かびやすくなります。
    さらにちょうどいい「間」が、想像を促すいい暇(いとま)になるのです。
    映像が浮かぶことで、聞き手はまるで自分がその出来事を体験しているかのような気分になります。
    それはまるで映画やテレビを見ているかのようです。

    脳が同期する!

    生徒さまが下さった文献には、このことが次のように書いてありました。
    また私の要約でお読み下さい。

    このような伝え方をしてもらえると、聞き手の脳内では言語処理の部分だけではなく、様々な領域が働き出す。

    聞き手は、その話を情報として処理するのではなく、目の前で繰り広げられている出来事を、その目で見て、その耳で聞くかのようにその話を聞くことができる。
    まさに話し手の体験を自分もしているかのような状態になる。

    脳の活動を調べると、「それがね本当に建物が古いの」と言われたところでは、聞き手の感覚皮質が活性化する。
    「しかも入り口が小さな引き戸になっていてね」「それを開けると」と言われたところでは、聞き手の運動皮質が活性化されていた。

    聞き手はただ話を聞いているのではなく、自分の体を動かしているかのような状態であると言える。
    聞き手は話し手が経験したのと同じ感覚を経験していたのだ!

    この時、話し手の脳と聞き手の脳は同じ領域を使っていて、二人の脳は同期している!
    これはニューラルカップリングと呼ばれるものだ。

    さらに効果的な間を取ることにより、聞き手は話の次の展開を予測するようになる。
    これが話し手のストーリーをより深く理解できることにつながる。

    また、ストーリーが感情的に盛り上がる場面では、‘幸せホルモン’であるドーパミンも分泌されることがわかっている

    なんという衝撃でしょう。

    短く切って効果的な間を使うことで、互いの脳が同期するなんて!
    別々の存在である人間が、コミュニケーションを使って1つになることができるのです。

    これこそが人が一緒にいて楽しくなるプロセス!

    さらに共感することでも、脳の同期が起こることが発見されています。
    互いが同じイメージ、同じ気持ちになろうとすることで、脳が共鳴し、互いを結びつけます。
    人はこうしてつながり合い、親しみを増すようにできているようです。

    こうなると話がうまい人とは、他人とつながり合い、親しみや愛情を深める力が強い人であると言えます。
    ぜひ多くの方にこのことを知って頂きたいと思います。

    脳科学を使用して会話で共感を生み出す方法

    生徒さまが執筆くださったブログ、ぜひこちらからご覧くださいませ。 ちなみに全文、英文です!