聞き上手は、いきなり質問しない

話し方教室を長くやっていると、
会話の様々な誤解に巡り合います。

「質問のうまい人が聞き上手」
と思っている人も多いようですね。

もちろんされて嬉しい質問もありますが、
質問が会話のいい流れを
せきとめることもあるのです。

Aさん「今日はジムに行ったんだけど、混んでてウォーキングマシーン使えなかったの」
Bさん「へー、どこのジムに行ってんの?」

誰だって気軽にこんな質問をしてしまうことがあるものです。
でももう会話はおかしな流れになっています。
と言ったら驚かれるでしょうか。

実は、安易な質問は、
話し手の意図と違う方向に
話をずらしてしまうことがあるのです。

Aさんは「ジムが混んでいてウォーキングマシーンを使えなかった」と言っています。
おそらく「せっかくやる気だったのに残念」とか「長時間使う人がいて腹が立つ」なんて話がしたかったのかも。
なのにBさんは「どこのジムに行ってんの?」と方向違いの質問をしてしまいました。

Aさんは自分が吐き出したい気持ちを吐き出せず、欲求不満気味で会話を終えることに。
「Bさんと話しても、なんだか楽しくない…」と思ってしまったかもしれません。

相手の気持ちに目を向けてみよう

お話をするときは、
相手の『気持ち』に意識を向けるとうまくいきます。

この人はどの気持ちをわかってほしくて
お話をしているんだろう、
そんな姿勢で人と話をしてみましょう。

どんな気持ちかわからない時や、
話し手がどんな方向に話を進めたいのか
見えない時はこんな方法があります。

Aさん「今日はジムに行ったんだけど、混んでいてウォーキングマシーンを使えなかったの」
Bさん「あら!」
Aさん「混んでいる時は一人30分ぐらいの制限時間を作ってほしいわ」
Bさん「長く使う人が多いんだね」
Aさん「そうなのよ!聞いてくれる?この間もね…」

相手の話をうながす相づち、
「あら!」とか「へー」とか「えっ!」
という言葉を送って相手の話を待つ。

これが聞き上手。

会話の沈黙を嫌う人は、
会話の間を恐がるものです。

でも聞き上手は積極的に間を作って、
穏やかに相手を見ます。

相手は、
「待っていてくれる」
「ゆっくりのテンポでいいんだ」
と嬉しくなって、本当に話したいことに
ゆっくり思いをめぐらせることができます。

これが会話のインフレーションを引き起こすのです。

これからは、自分が聞きたい質問を少し待って、
相手が話をしたい方向を見極める
相つぢを打ってみましょう。

相手はきっと笑顔になりますよ。

気持ちをわかってあげるスキルはここで