説明がうまくなる秘訣
私が会員になっているゴルフ場では、毎年一回、まぐろ祭りというイベントが開かれる。
私はそれがとても楽しみだ。
一緒に行く友人たちも半年も前からまぐろ、まぐろと連呼してうるさい。
それぐらいの大イベント。
まぐろ祭りを直前に控えた私は、社員の梶村と山田が忙しいにも関わらず、勇んでこう口走った。
『ゴルフ絶好調や。まぐろ祭りでは4人で握るから大きくなるでぇ!』
これで意味が通じるなら話し方教室など必要などない。
案の定、梶村と山田は
「はあ?」
と忙しい仕事の手を止め眉間にシワを寄せて私を見る。
ちょっと苛立っている感じ。
「まぐろを4人で握るんすか?」
「大きいのを握るんすか?」
彼女たちは興奮すると下品な話し方になる。
そこで私は己が愚かさにようやく気付く。
ちがうって。ほんとうはこう言いたかっただけなんだ。
『まぐろ祭りの時のゴルフは一緒にプレーする人が多くて、4人でちょっとした賭け(これを握ると呼ぶ)をするから、金額も大きくなるよ。
ふだんは2人ぐらいでしか賭けないからね。
賭ける人が多いと、勝った時の金額も大きくなるんよ。ゴルフ絶好調やから、賭けに勝つかもね』
これを勇んで言うと、
まぐろ祭りでは4人で握るから大きくなるでぇ!
になってしまう。
実は私、説明力を高める講座の講師!
忘れとった・・・
それがこの二人が相手になると、ふだんからしてツーカーの仲なので、言葉を大幅に飛ばしてしまう。
うーん、情けない。
説明力がないと嘆く方々もこの時の私と同じように、頭に浮かんだ言葉を情熱的に吐き出してしまうのだろう。
仕事で説明を使う時は、言葉を吐く前に一瞬間を置いて、息を吐きだして気持ちを整えてから、ゆっくり始めるときっとうまく行くよ。
そんなことをレッスンで言っておるなー。
そして自分が分かっているからと言って、相手が分かっているとは限らない。
相手を置いてけ堀りにしないで、相手はどこまで分かっているのかしっかり考えてから説明してみよう。
ここまで書いて、ハタと気が付いた。
まだまぐろ祭りが何なのか、ぜんぜん説明してなかった。
読者の皆様を置いてけ堀りだ。
まぐろ祭りとは、ゴルフ場が大きなまぐろを一本購入し、それを刺身やお寿司にして来場者に振舞うイベントなのです。
我々はプレー費は払いますが、食事代は一切無料。
「ここの大トロを握って」
「カマのとこ、刺身で」
「そんな珍しいとこあるの?そこ頂戴」
などと調理師さんにリクエストしながら好きなだけ食べられるのです。
これで皆さんに事の顛末が明快に伝わったかな。
ほんとに説明って、難しいですね。
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