あなたの会社のSMAPが会社を辞めるとき

SMAP解散のニュースがかまびすしい。
ジャニーズの大黒柱、SMAPが抜けることはジャニーズ事務所にとっても大きな痛手でしょう。
他人事のように映りますが、実は似たようなことが身近な会社で時々起こっているのでは?
会社を支えて来た実力者が、会社を去る場面をあなたも見たことがあるはず。

会社の大黒柱が抜けるとき

私の小さな人間関係の中でも似たようなケースをいくつか見て来ました。
あるレーシック専門の眼科で、主力ドクターが他のドクターとカウンセラーを引き連れて一斉退社。
テニススクールのチーフインストラクターが、主だったコーチを連れて独立。
不動産の会社でも、トップの営業社員が腕利きの営業マン数人を連れて別会社を興すシーンを間近で見たことも。

経営者は真っ青だったはず。

ジャニーズならば他にも稼ぎ手がいるのでなんとかなるでしょうが、小さな会社ではそうはいきません。
SMAP級の社員が抜ければ、それだけで会社の存続にかかわります。
例えばTALK&トークから梶村と山田という二人の有能な社員が抜けてしまったら、私は呆然として仕事ができなくなるはず。
もう公園に立ちストリートで話し方を教えるしかありません。

辣腕リーダーが陥る罠

経営者は売上と利益にどうしても目が集中しがちです。
リーダーは数字にばかり意識が向います。
とくにうまく行っている時に、トップやリーダーは有頂天になりがち。
するとメンバーに目が届かなくなります。

メンバーからは時々、「こんなことで困っている」といった相談があり、「こうしてほしい」という要望が出て、「こうしたら仕事がもっとうまく行くと思う」という提案が上がって来ます。
でも経営者やリーダーは忙しいし、自分の価値とずれたテーマだと関心を持てません。
「また今度聞くよ」とメンバーの話を軽く聞き流すことになりがちです。

有能な人ほど下のメンバーの気持ちに鈍感なもの。
なにしろ数字が己の価値を決めると信じていますから、数字が上がっている時は他人の言葉になど興味はありません。
しかし、こういう対応が続きますと、メンバーに不満がたまって行きます。

やがて不満は不信へと変り、メンバーの気持ちは遠のいて行くことに。
ある日突然、メンバーから「辞めさせて頂きます」と言われて初めて、ことの重要性に気づくというわけです。
その時はもう手遅れ。
メンバーは次の職場を決めてから事を起こしますから、打つ手は残っていません。
それまでは「うちはうまく行っている」と思い込んでいた経営者の顔が、他人には滑稽にさえ映ります。

経営者・リーダーこそ優れた聞く力をもつべき

経営者、リーダーにはコミュニケーション能力向上の努力が必要です。
今回の問題を防ぐスキルは、聞く能力です。

まずはメンバーをふだんからよく見ておくこと。
少しでもふだんと違う様子を見つけたら、何かに悩んでいないか、不満を感じていないか感じ取るセンサーを磨いておくべきでしょう。

メンバーに逃げられた経営者たちも「何かあったらいつでも言ってくれよ」という程度の言葉は使います。
でもそんな安易な言葉でメンバーがリーダーに本音を語ることはありません。

「私に聞いて欲しいことはある?」
「仕事がやりにくいところはない?」
「困ったことはない?」
「私のやり方で、ついて行きにくいことは?」

そんな言葉をメンバーに日常的にかけ、出て来る言葉にしっかり共感し、その言葉を尊重する態度を見せる。
これでようやくメンバーの信頼を手に出来ます。
メンバーは会社の宝、会社を発展させるためになくてはならない存在なのですから。

「聞く方はできる」と多くの人が言います。
大事なメンバーを失った経営者たちも同じことを言っていました。
彼らは上辺の聞く姿勢しか持たなかったために、大事な宝物を失いました。

聞く力がなければ、妻の愛情、夫の存在、子の幸せ、お客の信頼を手に出来ません。
聞く力を学んだ多くの人が「聞く力って、思っていたことの百倍深くて大事」としみじみと語っています。
人間関係のピンチを招く前に、そして大きな幸せをつかむために、聞くスキルをマスターしましょう。