息子が話してくれないお父さん 部下とうちとけられない上役さん

教室では「高校生になった息子と会話がない」というお父さんからのご相談を時々受けます。
「部下との雑談ができない」という上役さんの悩みと同根の悩みかと感じます。

マウント思考がお父さんをそそのかす

「優れた人でなければ、年下から尊敬されることはない」
「年下の者より優れた人であらねばならない」
「彼らになめられてはいけない」

常に勝っていたい。常に上でいたい。そうでなければならない
これを「マウント思考」と私は名付けました。

この思考に絡めとられている人は、
人と会うと、常に「どっちが上か」「下に見られていないか」を気にして暮らさなくてはなりません。
たとえ心の中だけであても、人との関係で上下を意識してばかりだとけっこうなストレスです。

このタイプは上に対しては、素直に下につけるので覚えめでたいことが多いです。
しかし下の人に対する接し方は、常に上からものを言う形になるので、息子も部下もストレスを感じます。

説教、教訓、ダメ出し、追い立て

説教する、教訓を垂れようとする、相手の至らなさを指摘する、
もっと努力をと追い立てる。
ということがマウント思考の持ち主のコミュニケーション。

息子のテストの成績が80点だったら、
あと20点取るなら、何をすればいいんだ?」と詰める。
うるさい。

ゲームばっかりしていてどうする。将来のことも少しは考えろ」と説教。
人を変える手段は責めることしか知らないようです。

はっきりものを言えないと、社会では生きていけないぞ
とダメ出しして来る。言われた方は心が痛い。

去り際は「がんばれ」で締める。
すでにがんばっている人には、うるさい極みです。

自分の弱みを見せられないのが、本人もストレス

お父さんは自分の弱みは決して見せません
人からなめられたら終わりだと信じているからです。

しかし、自分は息子や部下にえらそうに言えるほど立派な人ではないことは、
本人もわかってはいるのです。
だから自分の黒歴史は必至で隠します。

出来ない、知らないことは隠します
「ゴルフなんて、スポーツとは言えないだろう。老人の趣味だ」
と言うが、ほんとうは人に連れられて2,3度練習に行ったけど、
全くものにならなかったので、やる気にならなかっただけ。

失敗は言いません
「入社3年目のときに取引先を怒らせて、常務が詫びを入れてなんとか収まった」ことなど、決して言いません。

自分の至らぬエピソードなど、なめられる元なので絶対に話をしません

「雨の日、駅の構内に入ったのに傘をとじるのを忘れて、それをさしたままエスカレーターに乗っていたら、
女子高生に写メをとられてSNSにあげられた」
こんな絶好のいい話を封印してしまいます。

失敗談」「至らなさのエピソード」こそ雑談の最高の話題、人に好かれる好材料なのに。

こんな父と話をして楽しいはずがありません。
息子だからがまんして付き合ってくれているのです。
もう感謝しかありません。

これで若い人に愛される

父親世代は、息子世代の方が絶対に優れていることを知ることです。
年配の世代は「今どきの若い奴は体力も根性もない」などと見下しがちです。

しかし人類の歴史を見れば、絶対に若い世代の方が優れているのです。
若い世代が劣っていたら、社会は後退せねばなりません。
ここまで人類が発展できたのは、若い世代ほど優れていたからなのです。

しかも、ネットやAIで情報を取ることができる若い世代は、年寄りの知識や知恵など必要ありません。

これで息子から親しみを感じてもらえる。

お父さんはまず息子に尊敬の気持ちを持って接するべきです。
彼らはものすごい潜在力を持っていると信じてあげてください。

そして自分を「すごい人」に見せなくても、
息子から尊敬され親しまれる方法があることを学ばなければならないでしょう。

① 自分の至らなさをあらわにする
「失敗した」「こんなことも知らなかった」「人として至らなかった」
そんなエピソードを積極的にしてみてください。

ある士業の立派な男性は、息子に

『ちいかわの映画を観てたらお父さん泣いてしまって、お母さんに見られないように涙をふいていたんだけど、
映画館を出たときにお母さんから「泣いてたよね」と言われてどうしようかと思ったよ」

と話したら、息子から「子供の映画だよ」と言われたものの、
それから息子が少しずつ話してくれるようになったと言っていました。

② 息子の至らなさを責めない

大きな会社を一代で築いた男性は、家の中が荒れてました。
家族がばらばらで、家の中に笑顔はありません。

中2の息子も口を利いてくれませんでしたが、
マウント思考から解き放たれて自由になった後、

息子から「中間試験で国語が29点だったけど、期末は50点だったよ」と言われて、
「そりゃもうすぐ100点だな。すごいな」と言ったら、
「お父さん、冗談はやめて」と息子に言われたとか。

そこで「冗談はよしこさん」と言ったら、
家族中が大笑い。
「10年ぶりぐらいで家の中に笑いがおきました」
「昭和のつまらないジョークは令和ではウケるんですね」
と喜んでいました。

③ 教えを乞う
AIをうまく使うと仕事がどんどん楽になるんだってね。おまえも使っているの?」と息子に聞いたお父さん。
「よかったら私にも教えてくれないかな」と頼み、
『教えてもらっている間は、「ひろし先生」って呼んでいい? と聞いたら、
「やめてくれ」って言われました』
と笑いながら話していました。

④ 年下の者を引き上げる
もうすぐ70歳の男性は、毎日スクワットや速歩で体を鍛えています。
しかし電車で高校生に席を譲られたときに、
「いいの? お兄ちゃん。うれしいわ。ありがとう」と言って必ず座るのだとか。

理由を聞くと
「せっかく譲ってくれたのに、それを無下に断ったらもう譲るのやめようって思うでしょう。
喜んであげたら、また別の人に親切にしようと思ってくれるのではと。
若い人を育てるのが、年寄りの最後の仕事ですよ」
と笑顔でした。

もっと気楽に生きてみましょう

● 自分の失敗談を笑いながら話す。
●「あなたはすごいね。私の若い頃はそんなこと考えもしなかったよ」とほめる。
●「それ便利だね。教えて」と新しいことに興味を感じて自分に取り入れる。
● 若い人が成長できるよう手を貸す。

こういう生き方をすると無理をしなくてよくなります。
もちろん息子も部下も喜んでくれて、その無理のない生き方に尊敬の気持ちが生まれるのです。

そういう生き方でいいんだ!
そんなことを伝えられたら、お互いのストレスもなくなって、
健康で長生きもできるでしょう。