話し方教室で聞く力が学べるって本当?

「会話がとぎれない話し方66のルール」をさらに解説してみよう!

前回は聞く力についてお話しする前に力尽きてしまった。面目ない。
TALK&トーク 話し方教室では、聞く力について大変力を入れているのです。

「私は子供のころからテニスをしているのです」と言われたら、
「おっ!テニスですか。そんなに長く!」と言うのが聞き上手。

文字にするとたったそれだけなので、多くの人が「そんなことなら私はできる」と思ってしまう。
しかし、他人から見ると、そのほとんどはできていないから不思議だ。
また「そんなことが何の役に立つのか」と訝る人だっている。

本当に聞く力があるのなら、相手はしゃべり、笑顔になり、恋はすぐに実り、仕事はうまくいく。
上司から可愛がられ、年下からは慕われる。
お客さんからは大変愛される。

こんな人なら、あなたは恐らく聞き上手。
ないのなら聞き下手にちがいない。

「おっ!テニスですか。そんなに長く!」という言葉の奥でどんな心理が働いているのか解説してみよう。

まず、聞き上手とは、相手に話をしやすい雰囲気を作ってあげられる人。
無表情で「しゃべることがあるんならしゃべって」っていう感じで待っている人とはワケがちがう。
相手が話すから聞くのではなくって、積極的に話をさせてあげるのが聞き上手。

聞き上手は、「何かおしゃべりすることあるんじゃない?」「聞くからしゃべってみて」「あなたに興味あるわー」
といった面持ちで相手に穏やかな表情を向けます。
この穏やかさを持っている人こそ聞き上手。
安心感があって、一緒にいて居心地のいいことこの上ない。

話し上手になりたい!という方は、いっぱいしゃべる力を手にして沈黙を打ち破りたいと思ってる。
でも聞き上手は沈黙になっても、相手に不安を与えない。
「ああ、しゃべってなくても、この人は許してくれるんだ」という安心感がある。
一緒にいて落ち着くのは、この力を持っている人。

さあ、ここからが本番。

聞き上手は人と話すとき、相手の気持ち、相手がイメージしている世界を共有しようとする。
「子供のころからテニスをしていた」のだから、「よっぽど好き」「楽しい」という気持ちや「うまい」というイメージを浮かべる。

そしてこれを言葉にして、「子供のころから!」「そんなに長く!」「上手なんでしょー♪」と「!」や「♪」つきの感情表現をともなった反応をする。
この反応が相手には心地いい。
「わー、わかってくれている」「興味をもってくれている」「何を話してもいいんだ、聞いてくれるんだ」
と喜びの気持ちが湧いてくる。

ここで相手のイメージに素晴らしい変化が巻き起こる。
「わかってもらえる」という喜びは、イメージのインフレーションを引き起こす。

「あれも話したい」「これも話したい」とイメージが爆発するのだ!!
じゃじゃーん。これぞ会話のビッグバン!
かくして相手は我も忘れて話し出だす。
どんな口下手も、聞き上手の愛に出会っては口下手ではなくなる。

ああ、今日はいっぱい話しちゃった。

このコミュニケーションがあなたと相手との一体化を促す。
一体となるとは、心がつながること。
あなたは相手の気持ちとその世界を相手と共有し、尊重したのだ。
これこそが愛。
it’s a miracle

だから親しみが生まれ愛情が育つ。
そこから恋が芽生え、友情が育まれ、信頼に満ちた関係が生まれる。

なんと素晴らしきコミュニケーションの世界!
話し方教室 バンザイ!

「テニスが好き」という人に、「オレの兄ちゃんはインターハイに出たよ」というのは自分の世界の押し付け。
相手の世界、相手の気持ちは無視している。
そこに一体化は起こらない。
いくら話が上手でも、相手の気持ちや世界を尊重できなければ、いい人間関係は築けないのだ。

会話とは互いの気持ちとその世界の共有を生みながら前に進めるもの。
このことがわかって初めて、恋をし、相手といい関係を続け、家庭を持ち、幸せな家族関係が作れる。

オレの世界の押し付けでは、人は離れていく。

さて、この数年、TALK&トーク 話し方教室の受講生に変化が起こっている。

十年前なら「聞く力いりますよー」と言えば、ほとんどの人が「ああ、いりますねー」と答えてくれたのに、今では「私は聞く力は持っている」「いらないと思う」という人が増えている。
聞く力、全くないって感じの人が「聞く力はいりません」「持っています」とおっしゃるのだ。

不思議なことに、コミュニケーションがうまい人の方が、「聞くのはむずかしいですねー」とおっしゃる。

なぜかなー?と小首を傾げて考えてみたら、ようやくみなさんの置かれている状況がわかって来た。
そのワケについては、また近々、本当に近々お話をしよう。

待ってて。