父の日 父と子の話し方教室(2)

子供に失敗談や至らなさを話すことが、父と子のコミュニケーションがうまくいくコツとお話をしました。
すると必ず出て来る質問が、

「子供が勉強嫌い」とか「ボクは一生フリーターでいいよ」と言われたら、どうするんですか!というもの。

「フリーターでいい」と言われて、「じゃフリーター専門学校に行くか」とは言えないですよね。

ここで思い出して頂きたいのが自分の子供時代。
誰だって親に反発をしたものでしょう。
親から勉強しろとか、将来のことをしっかり考えろと言われても、決してその通りには振舞わなかったのではありませんか?

そして、親に反発をしながらも、内心「このままではいけない」とも思っていたことを思い出して下さい。
子供だって自分の将来のことはちゃんと考えないといけないとは感じているもんです。
だって自分のことなんですから。

あなたも今こうして立派な大人になっているのですから、どこかで真剣に自分の未来を考えたはず。

親が子供を変えようとしても無理なんです。
あなただって妻(夫)や子供の言うことを素直には聞けないのといっしょ。

「お父さん、洗濯物はカゴの中!」
「お父さん、タバコはやめるって言ったでしょ!」
「お父さん、そんなに早く家に帰ってきちゃダメ」

あなたは妻や子の言うことを素直に聞けるタイプですか?
無理なら、子供の気持ちもわかるはず。


親が子供にできるのは、子供の考えを引き出して、その考えを具体的なものにしてあげること。

「ボクは勉強嫌い」
「勉強嫌いか!」
「うん」
「勉強はむずかしいもんな」
「うん」
「勉強嫌いなことをもっとしゃべってみ」
「わかんないことが多すぎる」
「勉強わかんないから嫌なのか」
「そう」
「どうしたらわかんないことが減るかなー」
「わかんない」

子供と言えども、自分に関する答えは自分が持っています。
親は子供の考えを少しずつ引き出してあげるよう努めます。
答えを急がず、その日のうちにいい答えが出なくても、また後日でもいいという余裕を持ちます。

このときつい「どうして勉強が嫌いなんだ?」というように、「どうして」という言葉を多用しがちです。
でも「どうして」という言葉には相手を責める、上からものを言うといったニュアンスがあるので、あまりたくさんは使わないようにして下さい。

話が行き詰ったら、「〇〇のとこ、もう少し話してみて」とうながして、子供から言葉を引き出します。
そして「どうしたら・・・ができるようになるかなー」と子供から答えを引き出すように頑張ります。
こういう粘り強い働きかけを続けると、子供は自分で考える力を養い、やがて自分の力で答えを見つけるようになります。

ここで紹介したのが、素晴らしい聞く力。
「聞く力」とは、相手がおしゃべりするように働きかける力です。
これは仕事でもそのまま応用できるでしょう。

聞く力は、話し方教室で学べます。

あ!それでも子供がフリターになりたいと言ったら?
それはその子の信念ですから、フリーターにならせてあげましょう。

「フリーターの一日のイメージを話してみて」
「好きなときに働いて、あとは好きな趣味とかに時間を使う」
「暮らしはどうなってんの?」
「だって月に10万円ぐらいあれば、楽に生きていけるでしょう」
「ちょっと待って。おまえ、お父さんの家に住みながらフリーターするイメージもってないか?」
「うん」
「それは無理だろう。学校を卒業したら、自立するんだよ、おまえは」
「ひっ!」
「自分の人生、ちゃんと考えないとな。月10万で暮らすんだったら、アパートの家賃は3万円ぐらいかな。風呂はついてないんだろうなー。今から一日一食でも死なない訓練をしておけよ」

こう突き放す勇気も必要でしょう。

こんなフィードバックを下さったお父さんもいらっしゃいました。

3年前、全てにやる気を見せない息子について、先生が「誰にでも自己実現の欲求がある」とおっしゃっていたことについて、息子にも当てはまるのだろうかと半信半疑でした。でも確かに先生のおっしゃる通りでした。

子供もひとつの人格で、自分の人生をよくしたいと考えている、と理解できれば対応はいくらでも変えられるはずです。
父の日は、お子様と気軽にのんきなお話をしてみましょう。