コミュニケーションの選択。人生が大きく分れるとき(1)

私たちは日々生きるという営みの中で、多くの人々と関係を持ち、様々な行動を無意識に選択しています。
行動とはつまり他人にどんなコミュニケーションを取るかという選択です。

例えば、誰に挨拶をするか、どんな顔で、どんな態度、どんな声、どんな気持ちを送るか・・・
一瞬の内に全てを選び取って、あなたは態度を決定しています。
その小さな積み重ねが、自分の人生を決定していると意識している人はごくわずかでしょう。

同じ環境で暮らしながら、友人に恵まれる人、孤独な人。
似たような顔立ちなのに、結婚できる人、できない人。
同じような言い争いをしながら、和解しさらに深く愛し合える夫婦、別れる夫婦。
同じ業績でも、職場で認められる人、認められない人。
似たようなスキルなのに、裕福な人、貧しい人。

その違いを生んでいるのが、コミュニケーションの選択なのです。
ほんの小さな選択が、和解と別れ、協力と争い、愛と孤独の分れ道になっています。

今日は、コミュニケーションのルールを知っているだけで離婚の危機を脱したある男性のお話をば。

彼には結婚して3年になる妻と幼い娘がいます。
妻の父が入院したので妻は介護のために東北の実家へ。
父は介護二ヶ月で他界し、葬儀から相続の処理のために妻はそのあと数ヶ月間も東北で暮らすことになり、彼のもとに帰って来ないことに。

やがて妻から「父の残した土地はおばさんに無償であげようと思う」との連絡が。
田舎とはいえ数百万円になる土地。
彼は長らく帰って来ない妻への苛立ちから、こう言ってしまいました。

「離婚して東北に帰る可能性だってあるのに、おばさんにあげてどうするの。その家を残しておけば、そこに住むっていう選択肢もあるでしょうに」
無言の妻に「おやすみ」を言って彼は電話を切ったのです。

相手に対する疑いとイライラから、夫婦はよくこんな言い方を選んでしまいます。
この言葉だけを見れば、彼を責めることは簡単ですが、私たちは苛立ちから相手を責め、突き放す言葉をつい使ってしまいがちです。
そこに小さなヒビが入り、それはすぐに大きな亀裂となって夫婦を引き裂きます。

電話を切った後、彼はようやくTALK&トークで習ったコミュニケーションを思い出しました。
相手の立場になって相手の気持ちを考える。
妻はなぜ父の土地をおばさんに渡そうとしたのか。
それまでの会話が突如脳裏に蘇る。

「相続の処理って大変。もうイヤ」

これはつい最近妻が発した言葉。
プレイバック♪プレイバック♪
彼はこの時「そんなことを言っても仕方ないだろ。司法書士に相談して、ちゃんと始末をつけて来いよ」と言ってしまっていた。
本当は「そんなにしんどいのか。慣れないことをすると頭が痛くなるね」と言うべきだったのだ。
「TALK&トークで習ったことなのに、とっさにはできないものだ」と苦笑いを浮かべる彼。

その日は夜も遅かったので、次の日に電話しようと寝床に入った彼だったが、教室で「女性の怒りや憎しみはすぐに固まってほぐせなくなる。気がついたらすぐに手を打つのが自分を救う道」という言葉が頭をよぎり、布団の上に跳ね起きて電話をとった。
妻は起きていた。

「さっきはひどいことを言ったな。一人で相続の処理をするのが大変だったんじゃないの?オレも手伝わないといけないのに、すまんな」

そして彼は最も大事な一言を言わねばならないことを思い出した。

「おまえのことが大事だから。おまえのことが好きだから」
すると妻からも「私も好きよ」という言葉が返って来た。

行き違っていた二人の心はようやく交わり、愛情が復活した。
妻は彼からこの言葉を聞けなければ、このまま東北に残り離婚するつもりだったらしい。
それからは相続の処理もスムーズに運び、妻はようやく彼のもとに。

二人が離婚した場合、この夫婦が蒙る経済的損失は甚だしい。
彼は養育費を子供が成人するまで支払い続ける必要がある。
妻は子供を一人で育てなければならない。

心は荒み、孤独が身体を蝕む。
孤独は病を生み、医療費をかさ上げする。

彼はそんな事態をコミュニケーションの力で乗り切ることができました。
そしてお金では買えない妻の愛情と愛娘との暮らしを復活できたのです。

コミュニケーションの本質とは、ほとんどの人にとって習わなければ習得できないレベルの高いものばかり。
彼はTALK&トークで習うコミュニケーションのレッスンがいたく気に入り、数年間も通い続けた珍しいくらい熱心な生徒でした。
その極意のほとんどを習ったはずです。

それでもとっさには使えませんでしたが、ギリギリのところで思い出し、自らを救うことができました。

彼が教室で使った金額はおそらく50万円を下らないはず。(びっくりする方がいるかもしれません。ほとんどの生徒は1、2ヶ月で数万円の受講料しか使いません)

ほとんどの人は、「コミュニケーションにそんな大金を使うなんてバカげている」と思うでしょう。

しかし彼が乗り切ったピンチは金額にすれば計り知れないもの。
知識と知恵がなければ、決して乗り越えられなかった危機でした。

現実にコミュニケーションのルールを知らないばかりに、愛を失う人、家族を失う人、職を失う人、お金を失う人、友を失う人、信頼を失う人が世の中にあふれかえっているでしょう。

コミュニケーションが持つ価値は、世の中ではまだまだ小さいと思われています。

でもコミュニケーション能力は、大金を払ってでも身につけるべき重要なスキルなのです。
あなたの愛情も収入も健康さえも、コミュニケーションの力で高めることが可能です。
ぜひコミュニケーションというものにもっと目を向けてみて下さい。