大阪の話し方教室『TALK&トーク』

カウンセラー卑弥呼 〜序章〜

                   カウンセラー卑弥呼〜序章〜

〜 省略 〜

そのとき私の後ろで大きな影が舞ったような気がした。その影は足音もなく私の背後を通り抜け、初老の婦人の方へと近づいていった。影の主人は、私より少し年上に見える女性であった。見事な黒髪を背中で束ね、白いショールを肩に巻き、細身の体をしなやかに操って滑るように初老の婦人の傍らに立ち、氷のような表情で男の額を人差し指で強くつついた。
「いた」男はまぶしそうに目を細く開けた。「なんだ!」声が怒っている。
「席を詰めてこのご婦人を座らせなさい」凛としたその声には反抗を許さない剣のような響きがあった。
男は何か言いかけたが、この女性の冷たい視線に押されるようにカバンを膝に置き、婦人が座れるように膝を詰めまた寝たふりをした。
「かっこいい」憧れの目で彼女を見ていると、彼女もこちらを見た。瞳が合った瞬間、私は金縛りにあったように身動きがとれなくなり、数秒だが意識がなくなったような気がした。気づくと彼女が私の隣に立っていた。158センチの私より少し背が高い。
「すごく勇気があるんですね」初対面を意識せず、私は彼女に言葉をかけた。
「ふふふ」氷のように見えた彼女の顔に柔らかい表情が浮かんだ。
すごい美人!色は透き通るように白く、化粧もあまりしていないのに瞳は私を包みこむように漆黒の輝きを持っていた。
「みんなどうして人に優しくできないのでしょうか」ふだん誰にも聞けずにいた疑問が、なぜだか口をついて出た。
「心に愛がないからよ」視線を外の景色にやったまま、彼女は冷えた声で答えた。
「愛?」
「そう、愛」
「愛がないとああなるのですか?」
「干からびた心はその主人に砂漠のような現実をもたらすの」
「主人って?」
「この場合、あの男の人ね」
「あの人、どうなるのですか?」
「見たい?」氷の表情にいたずらっぽい少女の面影が見えた。
彼女の瞳がまた私をとらえた。まぶたに閃光が走り、私の脳裏に鮮烈なイメージが浮かんだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・続く。

 


あなたもゆかりとともに、ヒミコに導かれるまま、ずっと目をそらせてきた自らの心の奥底に光を当てる旅に出ませんか?次回以降、ゆかりは何を知るのでしょうか。何を発見するのでしょうか。
それは本当にゆかりを幸福にするのでしょうか・・・

小説「カウンセラー卑弥呼」は、毎回のレッスンと連動する形で内容が進行します。
レッスン内容が身近に感じられ、内容も理解しやすくなるはずです。

 資料のご請求

 

閉じる

Copyrightc 2006, Talk&Talk, inc . All Rights Reserved.